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気まぐれに書評とか。

2016-01-01から1年間の記事一覧

ヒトラーが現代に蘇った場合、彼の猛進を防ぐ手段はあるのか?―ティムール・ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー』

『帰ってきたヒトラー』を読みました。ヒトラーを扱うブラックユーモア小説として、ドイツ国内では大ヒットした作品。ドイツに限らず、アメリカや、なんと…イスラエルでも出版されたそうです。映画化もされており、映画も時間を見つけて見てみたいと思います…

トンチンカンな質問をされるのは、自分自身に原因があるのかも?―木村亮示・木山聡『BCGの特訓』

今年に入ってから買って、3回くらい読み返した本です。本日3回目読み返しましたが、そういえば書評をまともに書いたことがないと思い書きます。 最近悩んでいることがあります。ひとつは自分自身の成長について。そしてもうひとつは、新人の育成です。あ、新…

スピノザ―ジル・ドゥルーズ『スピノザ』

ジル・ドゥルーズ『スピノザ』を読みました(やっと)。この本はガタリと共著した『千のプラトー』が出た翌年に出版されたもので、ドゥルーズのどちらかというと中〜後半の思想を代表している本のひとつだといえます。 ドゥルーズは、他にも『スピノザと表現…

ゼロから理解する機械学習―斎藤康毅『ゼロから作るDeep Learning』

機械学習の勉強の最初の本として買いました。ちなみに私はど文系の政治哲学出身なので、数学はサッパリです。大学の教養の授業で、理系の学部2年目までに習う線形代数と微分積分を取ったくらい。ただ、仕事で数学を使うことになったのでそれから勉強して、か…

JJUGのLT会に行ってきた

JJUGのLT会に行ってきました。いつも薄い感想を抱いてこういうセミナーって終わっちゃうので、せっかくの機会なので感想をしっかり書いてみようと思います。ただし、書く気力が続いたら(現在、AM2:42)。 ピザとビールを片手にみなさんの発表を聞く会でした…

アマゾンの考え抜かれた事業展開がすごすぎる―角井亮一『アマゾンと物流戦大争』

今月のTSEPの課題本。ロジスティクスが今月のテーマということでとても楽しみにしていたんですが、急遽お仕事が終わらないことが水曜日くらいに発覚し、残念ながら参加できませんでした>< 私も最近になってAmazonのPrime会員になったのですが、これすごす…

ペットを捕まえようとすると逃げるところから、「心」を考える! ―ダニエル・デネット『心はどこにあるのか』

完全に消化不良ですが、一応読んだってことで書評を書きます。完全に消化不良につき、勘違いしている箇所もあるかもしれませんがご容赦ください。哲学書はつねに「んんん?」からはじまり、「んんん?」で終わるのが常ですね。デネットも本書の最後で、「本…

私たちに「意識」はないのかもしれない?―デイヴィッド・イーグルマン『あなたの知らない脳―意識は傍観者である』

最近はずっと心の哲学を勉強していました。仕事で使うというわけではないのですが、機械学習について最近は勉強をしていて、ふと「人工知能っていったい哲学的にどう考えられるんだろう?」と疑問に思ったのがきっかけでした。それで、心の哲学の本を読んで…

人口減少は武器かもしれない?――『武器としての人口減少社会』

この手の本は本当に久しぶりに読んだのですが、とある読書会に参加するきっかけを得たので読んでみました。読書会では非常に有意義な意見交換ができたと思います。社会人になってからやる読書会は新鮮ですね。 ニュースを見ていると、「経済成長率の鈍化が」…

考えるな、感じろ――『反解釈』

少しお固めの本をいきましょう。最近Twitterでおもしろいツイートが流れてきて、そういえばこの話、ソンタグが昔似たようなことを言っていた気がすると思い出して、改めてこの評論を読み直してみました。『反解釈』です。 作品の説明をいちいち求めてくる人…

女ごころは残酷だ――『女ごころ』

サマセット・モームにハマって第三弾を読んでみました。『女ごころ』という作品。この本は、ページ数が少なくすぐに読み終えられるので、モーム入門にはいいかもしれません。 女ごころ (ちくま文庫)作者: W・サマセットモーム,William Somerset Maugham,尾崎…

大女優はこういう恋愛をする

サマセット・モームにハマって、短編集を読み、その次に『劇場』という本を偶然近くのブックオフで発見し、読んでみました。ブックオフで買った際にこの本に新聞の切り抜きが挟まっていて、その記事に『劇場』の映画の話が書いてあって、とても興味をそそら…

読了後、精神年齢が少し上がる(かもしれない)――『月と六ペンス』

買ってしばらく経ってしまっていましたが、ようやく読み終えました。あまりに有名すぎる本。サマセット・モームの本。「六ペンス」とは富の象徴で、その意味かと思ってWikipediaを開いてみたら、そうじゃないらしいです。月とは夢のことで、6ペンスとは現実…

諦めずに読めばわかる――『重力とは何か』

一般相対性理論とか、量子論とか、本当は数式をきちんと読んでいくのがこの手の分野の正しい学習法だというのは痛いほどわかります。数式を読まずにわかったつもりになるのは危険です。しかし、専門家でない私たちはある程度の「感覚」が得られればそれでい…

2016年上半期、読んでよかった本

長期休暇につき、たまには本のことを思い出して書かねば、という思いに駆られて書く。あまりいい言葉ではないけれど、今年は本当に忙しく、本を読む時間が電車の往復30分間だけ、という時期が数ヶ月続いています。したがって読んだ冊数も少ないですし、疲れ…

Mac OS XでPython2.xからPython3.xに切り替えた話

少し手元でPythonを使いたいタイミングが生じてきたので切り替えを行ったのですが、結構面倒だったのでメモします。いい方法を知らないだけかもしれませんが。今年の3月くらいに自宅用のMacBookProを切り替えたのですが、Pythonのバージョンを確認したところ…

知っておきたい「お金の教養」

最近生命保険の営業を受けたり、周りの結婚話を聞くようになってきました。それを聞くたびに、歳を重ねたなあと感じると同時に、「意外に世の中のことがわからないぞ」という不安に駆られてきます。そんなこんなで、随分前にライフネットの出口さんが講演中…

『国家はなぜ衰退するのか』上

大学生の頃に出版された本だったが、最近まで読めずにいた。しかし最近になって文庫化されていて、ぜひ読んでみるかということで読んでみることにした。感想としては、非常におもしろい!以外の言葉が出ない。まだ上巻だけど、ひとまず感想を書きたくなるく…

『聞くだけで自律神経が整うCDブック』という本

いや、単に気になっただけである。怪しい、とかそういうことは思っていない。口コミ評判で上々そうだったので買ってみた次第。使ってみた効果については、今のところよくわからない。 私個人としては、著者の小林弘幸氏にはいくつか質問がある。 まず『聞く…

『純粋理性批判』ノート

*「感性」と「感覚」の違い。これを世の哲学者はどう考えているんだろうか。読む限りでは、感性→感覚の順に対象が流れ込んでいくように思えるんだけど、でもカントの書きぶりだと、感性と感覚は実は同時刻に通過するもので、しかもお互いに重なりあう箇所が…

『イデーン』をちょいちょい読み返して思うこととか

*GW、なんだかんだちょくちょく仕事があるし、予定が入ったりして完全に暇というわけには行かないけれど、おおよそ暇なので普段じっくり読めない哲学書を読み返す。今回は『イデーン』を軽く読み返した。 *正直、『イデーン』は、現象学の概念の整理編とい…

ネットのウソ調査を見抜くために読むべき本ーー『「社会調査」のウソ』

日頃、新聞やネット記事にあふれている「調査」や「アンケート」をどれくらい信じられるだろうか?もし、それらが実は、信じるには根拠が薄すぎるものばかりだったとしたら?あなたはどうするだろうか。 実は、新聞の調査やネットのアンケート調査の結果とい…

生きる希望をなくしたら読みたい、『三十歳』

30歳が近くなってきた。まだ24だが。でも、20歳の人に親近感を感じるかというと、感じない。感じるのは30歳の人の方だ。なぜなら、社会人になってしまったからだ。 30歳を目前にすると、いろいろ疲れる。なぜ疲れるか。人生の辛酸をすこしずつ舐めはじめるか…

『世界システム論講義』は歴史に興味があるなら一度は読んどくべき。

『砂糖の世界史』や、ウォーラステインの世界システム論講義を翻訳した川北先生の本。世界システム論とは、世界を一つの有機体だと捉える考え方のこと。世界システム論によれば、世界は「中核国」と「周縁国」に分かれる。そして、その国と国同士がお互いに…

なぜサラリーマンの目は死んでいるのか

来年就職予定の大学生が議論を呼びそうな記事を書いています。私も、ついこの間まで大学生だったので、同世代として少しコメントしてみようかと思います。 私は今新卒1年目で、金融系IT会社で働いています。そのなかで、銀行のリスク管理に関係するシステム…

『ニーチェ』ジル・ドゥルーズ

ドゥルーズはこの本の中で、ニーチェの言葉を借りてではあるが、次のようなことを述べている。哲学は、否定の歴史だったと。「○○をしなさい」ではなくて、「○○のような生き方をしてはならない」という思想が、ソクラテス以降の思想には根付いてしまっていた…

年末年始は塩野七生

せっかちなWebの読者のために、先に結論を伝えたい。この本はおもしろい。ただし、世界史にある程度触れていなければ、楽しむことはできないだろう。「アテネ」「スパルタ」の言葉に「あぁ、あれね」と反応できなければ、この本は結構難しい。 * 塩野七生の…