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気まぐれに書評とか。

2015-01-01から1年間の記事一覧

『イデーン』『コネクトーム』

フッサール。その名前を高校の倫理で聞いた方は多いだろう。だが、フッサールが何をいい、何を考えた人かということまで知っている人は少ない。「あれだよね、現象学を唱えた人」――そこまで答えられればいいほうだろう。ドイツ観念論を代表するカントやヘー…

世界史の大多数は、実は疫病で決まってきた

何が歴史を決めるのかというのは、歴史を勉強する人にとっては非常に気になるテーマだ。歴史は何によって決まるのか。歴史はどのようにして動くのだろうか。真因を発見することは、おそらく歴史学者たちのひとつの夢ではないだろうか。 疫病と世界史 上 (中…

軍事の天才を学ぶことは、人生訓でもある

さて、先週に引き続き塩野七生『ローマ人の物語』を読んでいる。今週は時間がたまたまあって、平日であったものの9巻を読み終えることができた。カエサルの前編は3巻から成っているから、残り1巻となった。 この巻では、カエサルはいよいよかの有名な「ガリ…

『ローマ人の物語 ユリウス・カエサル』

ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)作者: 塩野七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2004/08/30メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 19回この商品を含むブログ (137件) を見る カエサルは高校時代の世界史が最初の出会いだろ…

『HHhH プラハ、1942年』

HHhH (プラハ、1942年)作者: ローラン・ビネ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/08/11メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 会社のロサンゼルス研修が終わり、帰国。日本は暑い。ロサンゼルスは日中28度くらいになるのだけど、湿気が…

『それをお金で買いますか』

久しぶりにマイケル・サンデルを読んだ。じつは私は大学時代に、マイケル・サンデルの日本の伝道者の主催するゼミに参加していたことがある。だから、サンデルの思想には当然かなり長いこと触れ合ってきたし、その問題点もまた、多少ばかりわかる。そして、…

『世阿弥』

白洲正子の『世阿弥』を読んだ。 世阿弥 (講談社文芸文庫)作者: 白洲正子,水原紫苑出版社/メーカー: 講談社発売日: 1996/11/08メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 12回この商品を含むブログ (15件) を見る 世阿弥の『風姿花伝』に関して批評を行った作品で、…

『シャノンの情報理論入門』

理系大学院出身の同期はこの人を知っていた。「シャノンエントロピー」という名前が一般的らしい。「情報エントロピー」、これが今回の本の主要なテーマだ。情報エントロピーの概念もまた、先日ご紹介したチューリングの計算機と同様に、現代のコンピュータ…

『チューリングの計算理論入門』

私はコンサルタントとして今働いているわけだけど、そのうち専門分野が2つある。1つは金融、そしてもう1つはITだ。そのうち金融分野ではトレーディングが専門ということになる。要するにフロントオフィスが専門領域だ。 一方で、ITはといえばまだまだ勉強不…

社会人1ヶ月目で感じたこと

たぶんこういう記事を書くことは二度とないだろうけど、初心という意味で1ヶ月目に感じたことを記しておきたい。 社会人になって大変だったこと 生活リズム:大学時代のゴミみたいな生活リズムは就職までに計画的に修正すべき 体力:外資系コンサルはほんと…

『問いかける技術』

今週はロジカルシンキングの講習だった。こういう講習を行う会社はすくないだろう。コンサル系だけいかもしれないけれど、ロジカルシンキングというのはビジネスをする上ではなくてはなならないスキルだ。 問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつく…

『読書について』

ショーペンハウエル。このブログの読者の方は、すくなくともビジネス書の書評はあまり望まれていないであろうから、今週の締めくくりとして1冊古典の書評をしておしまいにしたいと思う。 読書について 他二篇 (岩波文庫)作者: ショウペンハウエル,Arthur Sch…

大前研一の『稼ぐ力』

稼ぐ力: 自分の仕事に「名札」と「値札」をつけられるか (小学館文庫)作者: 大前研一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2015/02/06メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 元マッキンゼーの大前研一さんが書いた本を読んだ。『日本の論点2015』も読みた…

『正しい判断は、最初の3秒で決まる』

本屋で見かけてからずっと読みたいと思っていた本だったけど、お金がなかったので新品では買わなかった。先週、秋葉原のブックオフにいったらものすごく安い値段で売っていた。即買った。最近はブックオフにお世話になりすぎている気がする。社会人1年目、初…

生きる意味について

これは、友人にはまったく理解してもらえなかった考え方。 「生きる意味を考えることに意味はないのだ。」 哲学的に小難しく言い換えるとこうなるだろうか。 「世界に意味はない。世界に意味がないということは、世界内に存在する〈存在〉にも意味が存在しな…

『日銀を知れば経済がわかる』

日銀を知れば経済がわかる、というのは本当だと思う。仕事で日経平均株価の予測を行っているのだけど、その予測の際に重要になってくるプレイヤーのひとつが日銀だからだ。しかも、日銀の存在は結構大きく、今週はとくに日銀によって日経平均株価が大きく動…

社会人になって一冊目に読んだ本

タイトルに意味はないです!社会人になったこととついでに一冊読んだことのアピールをタイトルで済ませようと思ったらこうなっただけです。 さて、今週は資格を2つもとり、証券外務員の方は落ちるんじゃないかと心配だったけれど無事合格し、やっと入社とい…

「学生時代にしかできないこと」と「学生時代にやるべきこと」

「学生時代にしかできないこと」って、ないといわれるけど、実はひとつだけあるんだな。 卒業して思うけど、それは「学問」だ。しかも、ホンモノの学問の方。つまり、研究である。 研究とは、文系で言えば資料をかき集めて自らが設定したひとつの問題に対し…

『プラグマティズム』

さて、少し前に読んだ本なのだが、3月中になんとか書評を書きあげねばと思っている哲学書が何冊かあるので、皮切りに書きたいと思う。 プラグマティズム (岩波文庫)作者: W.ジェイムズ,W. James,桝田啓三郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1957/05/25メデ…

哲学って

哲学って、難しいと一般の人から言われるけど、結局昔から哲学者がウンウン頭を悩ませている話題は大雑把に言って以下の2点だけ。 世界はどのように成り立っているのか そのような世界で、私たちはどう生をまっとうすべきか この視点で読むと、哲学書はだい…

『経営者の条件』

by、ピーター・ドラッカー。 ドラッカーは経営学の世界では実はほとんど出てこなくて、海外の経営学者もあまり評価してないという話を前にどこかで聞いたことがある。たしかに、ドラッカーはデータに基づいて普遍的な法則を導こうとしたタイプの学者ではない…

『ファウスト』byゲーテ

ゲーテを読んでいる。『若きウェルテルの悩み』は、2年前くらいに読んだ。しかし、ゲーテの感情を理解することができなかった。ついで、『ファウスト』も今読んでいる。第一部が終わった。しかし、ゲーテの感情を理解することができなかった。 「よくわから…

シングルトンパターン

Javaのお勉強中におもしろいものを見つけたので適当に書いておきます。シングルトン(オブジェクト)パターンといい、簡単に言うとオブジェクトをひとつだけ生成することを行うデザインパターンのことのようです。 実際の挙動では、 getInstance()パターンで一…

PSFで学んだこと

このブログでプライベートのことを書くのははじめてかもしれませんね。 まだ大学の卒業が確定してはいませんが、所属していた組織はこの間引退させていただきましたので、簡単に振り返りをしておこうと思います。 (なお、振り返りのプレゼンでは時間が短す…

「粋な」作法を学ぶ。

社会人になるということもあって、そろそろ「礼儀」とか「粋な振る舞い」を本格的に身につけたいと思うようになる年頃です。こういうものは上司や先輩から教えてもらうのが早いとは思うけれど、できれば自分であらかじめ勉強しておきたい。そう思い、手にと…

日本のデザインがひどいって話

今日発見したNaverまとめの記事。わかる。ものすごいわかる。ただし、韓国との比較は余計だ。これは言わなくてよかった。*1 【画像集】まさに「デザインの死」日本の街中の過剰情報が狂気の域に達していた! - NAVER まとめ 【画像集】まさに「デザインの死…

『はじめての構造主義』

「構造主義」とは何か。構造主義とは、ある現象があったとしてその現象を「全体的」で「有機的」な構造の集合体ととらえ、ほかのモデルを援用しながら現象の解明を目指す手法のことを言います。たぶんそうです。 はじめての構造主義 (講談社現代新書)作者: …

『リーダブルコード』

リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)作者: Dustin Boswell,Trevor Foucher,須藤功平,角征典出版社/メーカー: オライリージャパン発売日: 2012/06/23メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 68人…

『今こそケインズとシュンペーターに学べ』

いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ―有効需要とイノベーションの経済学作者: 吉川洋出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/02/27メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 114回この商品を含むブログ (26件) を見る 先日読んだ水野氏の著書を読ん…

『資本主義の終焉と歴史の危機』

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書) 作者: 水野和夫 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2014/03/14 メディア: 新書 この商品を含むブログ (30件) を見る 書店に行くといつもランキングの上位の棚に置いてあり、結構売れているらしいということで買って…