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気まぐれに書評とか。

時代は、左脳から右脳へ―『ハイコンセプトの時代』

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

 

  ひさしぶりに刺激的な本を一冊読みました。

 ダニエル・ピンクが書いた、『ハイコンセプトの時代』という本。タイトルの「ハイ・コンセプト」とは何かというと、芸術的で感性的な美を想像したり、パターンやチャンスを見出したり、相手を満足させられるような話ができたりといった、どちらかというと「右脳」が得意とする領域のことを言うのだそうです。

 そう、この本の言いたいこと。それは、「これからは右脳の時代がやってくる」ということなのです。

これまでの時代は左脳の時代だった

 筆者によれば、これまで人類の歴史は次のように変化してきたといいます。体力頼みの時代から、左脳の時代へ。

 体力頼みの時代とはつまり、産業革命期のころのような、肉体労働が中心の時代のことをいいます。農耕が開始されて以来、ずっとそのような時代が続いてきました。したがって、男性と比べると体力面で少し不利な女性が、あまり活躍できない時代だったとも言えます。

 左脳の時代とは、要するにMBAに象徴されるような論理的思考を重視されてきた時代のことをいいます。個人的にもっとも象徴的なのは、米国製のコンサルティング会社なのではないかと思います。これらに象徴されるように、左脳を動かすのも男性の得意分野ですから、女性はやはりあまり活躍できない時代だったと言えますね。

 そしてこれらの時代を経て、筆者は「これからの人類には右脳の時代が到来する」と結論付けます。つまり、「ハイ・コンセプトの時代」が到来するのです。

ハイコンセプトの時代に必要な6つのセンス

 では、ハイコンセプトな時代に何が求められるかというと、それは「デザイン」「物語」「調和」「共感」「遊び」「生きがい」なのだそうです。

 とくにわかりにくいものについてだけ説明を加えますが、物語とは要するに人を説得するために必要になってくるストーリーのことです。これを創造する力のことをいいます。

 また、生きがいとは、人びとが以前の時代と比べてより、「目標」や「夢」を追い求める傾向にある、という意味です。たしかにいわれてみれば、ゆとり教育でも「やりたいこと」を重視する傾向にありますね。

右脳を意識しよう

 この本には右脳の活性化の仕方は書いてありませんでしたが、すくなくとも「右脳を意識しよう」という気持ちにさせてくれます。

 私は現状、デザイナーをやっています。その点では右脳を活かせてる人間のうちの一人なのかなとは思います。が、「共感」の部分がまだまだ弱い気がする。したがって、共感に焦点をあててがんばろうと思います。

 右脳の活性化の方法については、私は左利きなので勝手に活性化されるからあまり真剣に考えたことはありませんでしたが、「右脳を使わなくちゃいけないことを意識する」だけでもずいぶん変わってくるのかなと考えています。

 たとえば、筋トレの際は、そのメニューで鍛えたい筋肉の部位を意識しながら筋トレをすることで、20%効率がよくなると聞いたことがあります。

 それと同じで、右脳も活性化しなくちゃいけないことを意識しながら生活するだけで、それなりに効果があるのではないでしょうか。つまり、右脳を活性化するような活動を意識的に取り入れるようになることで、右脳の活性化を望めるということです。

 早く右脳を活性化して、時代を先取りしよう。