読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

multiplus

気まぐれに書評とか。

【書評】『2030年世界はこう変わる』

未来予測系の書籍を何冊か読んでおこうと思い、まずは一冊読了。米国国家情報会議が作成した資料らしく、大統領も目を通すというお墨付きの一冊。あとで3回くらい読み返して、しっかり頭の中に入れておこうと思う。

グローバルな流れとしては、やはりアメリカの覇権はついになくなる。アメリカの権威はさまざまな国がもつという形で、分散する。世界経済は危機を頻発するようになる。特に先進国の凋落っぷりはもう目をあてられないレベルかもしれない。食糧危機、気候変動はいうまでもない。一方でエネルギー不足の懸念は少し和らいでいる。といったところだろうか。

再生可能エネルギーは不発

一番印象に残ったのはこれ。私の見解もふまえて少し論じようと思う。

この報告書によれば、2007年〜2050年までに再生可能エネルギーは4%しか増加しないため、2030年時点でも再生可能エネルギーが大きく躍進することはないという。なぜなら、シェールガス革命によって天然ガスを当面大量利用することが可能になり、相対的に再生可能エネルギーの必要性が低下したためである。また、天然ガスを利用したほうがいくつかの点で再生可能エネルギーを利用するよりも合理的なため、今後も再生エネルギーはあまり普及しないだろうと考えられる。

2007年〜2050年までの間に再生可能エネルギーは4%しか増加しないという。したがって、2030年まででも再生エネルギーはそれほど広くは普及していないだろう。これについてはいくつかの点が考えられるが、直接的に影響を与えているのは、アメリカで起こったシェールガス革命だろう。これがなかったら、再生可能エネルギーは少しは普及したかもしれない。

天然ガスは、まず二酸化炭素排出量が比較的小さいという点で、石油・石炭エネルギーよりも優れている。石油よりも30%、石炭よりも50%、CO2排出量が少ない。再生可能エネルギーはたしかにCO2排出量0だけれど、それを開発するまでのCO2量も換算するとどうなるのだろうか。この点はあまり議論されていない。

次に、アメリカのシェールガス革命によって大幅なコストダウンがはかられたという点もまた大きいだろう。アメリカはこの革命によって、自国のエネルギー需要をまかなえるばかりか、輸出する余裕さえもある量のエネルギー資源を確保することに成功した。

さらにこの革命は、場合によってはOPECの優位性すらも破壊する可能性があるとレポートの中には書かれている。当然中東石油地帯への影響は計り知れないものになるだろう。レポートのなかでは、この影響によって中東情勢が変化する点までは言及されていなかったが、少なくともサウジアラビアなどは政情が不安定になる可能性はある。

また、再生可能エネルギーについては原子力発電の2倍のコストがかかるという試算もあるくらいである。再生可能エネルギーを大きく普及させることは、そのまま国家の経済を傾かせる危険性もある。再生可能エネルギーは今のところ現状に見合っていない。その点、天然ガスの低コスト具合には目をみはるものがある。

最後に、天然ガスは、それが化学肥料の原料となりうる点から、人口爆発によって食糧危機が懸念される今後においては重宝されるだろう。要するに一石二鳥なわけである。もしも太陽光パネルをかなり普及させたとすると、それだけ広大な土地をエネルギー生産のために利用することになり、その分農業用の土地が減ってしまう。これは食糧危機が懸念される今後においては、合理的な選択とはとてもいえないだろう。

ただ同時に懸念されることは、再生可能エネルギーが普及しないがために、それだけ研究費が割かれなくなり、結果的に再生可能エネルギーのコストダウンや技術進歩が望めなくなる。すると、イノベーションが起こる可能性があったものが起こらなくなり、人類全体の損失になるのではないかという点は、非常に気になるところである。

4つのシナリオ

この報告書のなかで提案されているシナリオは、以下の4つである:

  1. 欧米没落型
  2. 米中協調型
  3. 格差支配型
  4. 非政府主導型

私の主観だが、読んだ感じでは2番の米中協調路線がもっとも楽観的なシナリオであり、1番の欧米没落型はもっとも悲観的なシナリオだ。

冒頭にこの報告書は大統領も読む、と書いたけれど、おそらくオバマ大統領もこれを読んで、中国との協調路線を模索しようと考えているのではないか。だから、今アメリカが中国に歩みよりを見せているのだろうかと考えた。この報告書をもとにアメリカの外交作戦を考えてみると、思ったよりもアメリカの外交がわかりやすくなるかもしれない。

もっとも、「日本は不安すぎる」と報告書で名言されていたことから今後日本は相手にされなくなる可能性もあるけれど…

読後所感

なぜ2030年の本を読もうかと思ったかというと、10年後〜15年後という近未来がどうなるのかを少しでも知っておくことにより、就職活動にいかせると考えたためだ。動機は単純だった。

改めて日本の財政状況はまずいものがあると考えさせられた。このまま政治が変わらなければ崩壊への道をまっしぐらに突き進むことになるだろうから、各政党の経済政策については、国民はますます厳しく採点しなければならない。民主党政権時のような失策を生むチャンスは、もう残されていないのである。

また、中国が今後どういう作戦にでて、その際日本にはどういうリスクがありうるかという点も、本書を熟読することで少し予測できるのかなと考える。中国もかなり戦略的に外交を展開している。近々やってくる、地球規模の食料不足や国内の食料不足に備えてアフリカの土地などを買い占めているという記述には、中国のしたたかささえも感じさせられた。日本もこの点は見習うべきではないだろうか。

近隣諸国で最後にあげるとしたら韓国だが、韓国に関してはほとんど記述がない。韓国経済は謎が多いので、その点は勉強する必要がありそうだ。

広告を非表示にする