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気まぐれに書評とか。

【書評】『縮む世界でどう生きるか』

書評では禁じ手のこのことばを使おう―本書は悪書である。

本書は、生物学と経済学をくっつけるという、奇妙なハーモニーを繰り出しているからその物珍しさによって売れているのかもしれないが、特に経済学や政治学の議論に関してはとても粗雑に紹介されている。やるならもう少し本腰入れて、経済分野や政治分野について掘り下げて議論してほしい。ちょっと粗雑すぎ。

もっとも、現代経済学も実生活とはだいぶ離れてかなり抽象的で高度な内容も含んでいるともいえるため、著者のようないわゆる雑な議論でも、それはそれで構わないのかもしれない。*1

ただ、ひとこと突っ込んでおくとしたら、「経済学は、経済が発展することを前提に理論構築されている」というのはどうなんだろう。というか、そんなことを提唱した人はいったいどこにいる?ミクロだけ読んでマクロは読んでないとか?それは学者としてどうかねえ。

あと、生物の生存競争と企業の競争戦略はまったく異なるものなので、そのへんを混同している(と思わされる)時点でアウト。アリの研究だけやってればいいと思う。

しかしながら、本書の問題意識には賛成。減少・縮小を考慮にいれながら、今後の人生設計や企業戦略を考えることはとても重要である。この先は日本に限らず、世界的にも定常型社会がやってくるか、縮小型の社会がやってくるかのどちらかでしかないから、来るべき未来に備えていろんな選択の幅をもっておくことは大切だ。

*1:個人的にはゲーム理論は大嫌いなので、そのへんの批判はまずまず的確

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