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気まぐれに書評とか。

諦めずに読めばわかる――『重力とは何か』

一般相対性理論とか、量子論とか、本当は数式をきちんと読んでいくのがこの手の分野の正しい学習法だというのは痛いほどわかります。数式を読まずにわかったつもりになるのは危険です。しかし、専門家でない私たちはある程度の「感覚」が得られればそれでいい…そう考えている人は多いはずです。

そんな科学好きの一般読者に向けられて書かれたこの本は、「感覚」を得るにはうってつけだと思います。多少わかりにくい記述があっても、根気強く読んでいけば必ず理解できるように書かれている。それが、この本だと思いました。私も、何度かよくわからなくなる場所があったのですが、自分でネットで調べながら読んでみたらなんとかなりました。読書の楽しみを思い出させてくれました。

重力とは何か。これは難しい問いです。私の理解では、重力は鉄球とスポンジで説明できると思っていました。鉄球が大質量の物質で、スポンジがそれを受け入れる空間だとします。鉄球をスポンジの上に置くと、鉄球の周囲が凹みますよね。これが重力の正体なんじゃないかと。鉄球でできた凹みに向かって小さなパチンコ球を転がしてやると、パチンコ球は鉄球に引きつけられます。また、もしパチンコ球が鉄球の周りをルーレットのように回るとしたら、遠心力と重力とが釣り合って、公転のような現象が起きるかもしれない。そのくらいの理解でした。

本書ではじめて知ったのですが、重力を説明するには上記の話に加えて、「欠損角」という概念が必要になってくるとか。この欠損角があると、1周が360度だった空間が300度になったり、330度になったりします。そしてこの欠損角こそが空間の歪みの源泉なのだと。なるほどわからん、というのが正直なところですね。

個人的に興味をそそられたのは、あまり自分でも理解していなかった超弦理論のところでした。まず超弦理論とは何かというと、原子よりもさらに小さな宇宙の最小単位を研究する理論です。宇宙の最小単位は実はすでに存在自体は証明済みで、あとはそれを観測するだけなのだとか。そして、その最小単位を考えるのが超弦理論、というわけです。

原子よりもさらに小さな宇宙の最小単位のことを「ひも」とか「弦」と呼びます。この弦は6次元(!)の構造を持っています。なぜ「弦」と呼ぶかというと、ギターなどは、弦の震え方を指の位置で調整して音の高さを調整できますよね。あれと同じ原理で、宇宙の最小単位も弦の震え方を変えることで発現する状態が異なるからなんだそうです。

当たり前の話なのですが、超弦理論は宇宙の最小単位を扱う理論です。つまり、それ以上小さいものがない、というものの謎を解き明かす分野です。これは最も確実な理論なんじゃないかと思います。まずは「弦」の存在が観測されないといけませんが、あるといいななんて夢を抱かせてくれます。

手っ取り早く宇宙の最新理論について理解するのにオススメ

もちろん、この手の話は専門とするのであれば数式を見て、自分でその数式を解いてみてはじめて「理解した」といえるのは間違いないことなのですが、門外漢の我々にとってそれは手間暇があまりにかかりすぎます。だから、せめて最新の宇宙理論で扱われている概念のさわりだけでいいから理解したい、という人にはオススメできる一冊です。自分で色々調べていて思いましたが、本書はどうやらこの分野の基礎部分をいい感じに抑えているようです。

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)

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