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気まぐれに書評とか。

『How Google Works』

どうもこんばんは。ずいぶんと空いてしまいましたが、書きます。

『How Google Works』という本を読みました。もちろん、駅でみかけた興味本位からでした。本当に「Googleの仕事術」みたいな感じの本で、Googleの仕事環境を知るには最適の一冊でしたが、私が求めていたような「Googleがなぜ強いのか」についてはあまり触れられていなかったような。

いや、もしかすると、この一言で触れていたのかもしれません。「Googleは、スマートクリエイティブを集めている」――この一言で、Googleの強さを表したも同然です。そして、この「スマートクリエイティブ」たちが「生き生きと」働ける環境を創るにはどうしたらよいかという話が、本書では一貫して記述されています。

スマートクリエイティブとは、本書によれば定義がいくつかあるようですが、要するに「Googleに入れちゃうくらい優秀な人」ということにしておきましょう。そうすると、本書を読み解きやすくなります。

Googleにはスマートクリエイティブがいたからこういう文化になったのか、それとも、こういう文化だったからスマートクリエイティブが集まってきたのか。この点については議論が難しそうですね。私は読みながら前者だったと思いました。しかし、Googleのような柔軟な企業であれば、後者も取り入れつつ経営文化を築き上げることが可能だったのかもしれません。したがってこの二元論は、あまり意味をなさないと思いました。

けれど、本書では「文化は、あらかじめ起業する際に決めておけ!」なんて書かれていました。なぜかというに、文化は醸成することがもっとも偶発的で難しいものだからというのがひとつ。もうひとつは、望む文化の醸成に失敗したリスクがあまりにも大きいから。何より、スマートクリティブは、自らの求めるものに文化をあげることが多いそうですから、文化の醸成にはとくに慎重にならなければならないと。Googleらしいですね。

ここは一番おもしろいなと思ったところでした。

私なりに本書の感想を述べるとすれば、「へぇと思う内容はたくさんあったけれど、「で、何が言いたいの?」というのがイマイチわからなかった」という点でしょうか。私はあまりシリコンバレーや起業・スタートアップということばに今のところ興味がありませんので、イマイチ「じゃあ、ウチにも使ってみよう」という気が起きなかったんだと思います。一般向けの本というのは少し程遠い感じがしましたね。

ひとつ批判したので、ひとつ良い点を述べるとすれば、「本文もしかり、しかしそれ以上に注がおもしろい」という点でしょうか。注に載っている論文を実際に読んでみましたが、とても興味深い研究結果のものばかりです(ただし英語)。時間のあるときに、注潰しをしてみたいなと思いました。

ここから学んだことがさらにあって、それは、やっぱりアメリカの大企業のCEOというのはたくさん勉強をしているのだなということです。Googleレベルの収益を上げている会社のCEOは当然、たくさん勉強しているんでしょうね。だから、こんなに膨大な注をかける。日本の起業家の書いた本を読んでみれば分かる通り、まともな注がついている本なんてほとんどありませんし。

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)  ―私たちの働き方とマネジメント

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント