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気まぐれに書評とか。

菜根譚にはっとさせられる

ふと『菜根譚』を読んでいたのですが、読んで開いたページに載っていた一文(一箴言?)にはっとさせられたので、記事にして忘れないように。

(『菜根譚』というのは、中国明代末期の古典。)

他人の悪を責めて善に向かわせようとするとき、あまり厳し過ぎてはならない。 その人が、それを受け入れられるかどうかの程度を考える必要がある。 また人を教えて善をさせようとするとき、あまり高すぎてはならない。 その人がそれを実行することができるかどうかの程度を考えて、実行できるようにしなければならない。

私は最近後輩の指導にあたることが多いのですが、これは気をつけたいところですね。ついつい彼らの悪いくせには強く当たってしまう節があります。しかし、悪いことだというのは彼らもうすうす認識している。それを強く言うのは逆効果だと思います。

また、「いいこと」はとことん後輩にさせたくなるものではありますが、その気持はグッと押さえ、まずはその後輩がその「いいこと」を実践できるレベルかどうか、よく確認してから任せるべきですね。

この句を極限まで抽象化して自分の中に教訓としておさめるとしたら、「後輩の様子や度量をよく見て指導に当たりなさい」というところでしょうか。これ、案外忘れがちで、「善は急げ、悪を潰すのも急げ」というのは現場で実際に発生してしまいがちです。それが後輩へのプレッシャーとなり、結果として後輩をパンクさせてしまうことになりかねない。

私は多分、善のレベルを判断して後輩に任せるという点に関しては十分出来ていたと考えていますが、悪の部分に関してはイマイチだったかなと反省しました。菜根譚、時々読み返して自分の振る舞いを振り返るにはとてもいい本です。