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気まぐれに書評とか。

「空・雨・傘」で考える

一般的にはコンサルティングファームでよく強調されるテクニックとして、「空・雨・傘のフレームワーク」というものがある。この詳細については後述するが、一言でまとめるなら、「事実をしっかり認識して事実を解釈し、解釈を下に行動まで移せ」ということになるだろう。

私自身、これを無意識にやっていたからそのようなフレームワークがあることは知らなかったのだが、コンサルインターンの現場でこき使われて(?)知ることになった。これはとても便利で有効なフレームワークだと思うから、ぜひ紹介したい。

では、空・雨・傘で考えるとはどのようなものか。それは説明すると以下の通りである。

  1. 空:事実。「空が曇ってきた」
  2. 雨:解釈。「雨が降るかもしれない」
  3. 傘:行動。「であれば、傘を持って出かけよう(傘を買おう)」

私はこの中でもっとも難しいと思うのは1の「事実認識」だ。今日はその話だけ書きたいと思う。英語でよく「ファクト」といわれ、さらに「ファクトベースで物事を語れ」というのは少しでもまともな職場で仕事をすれば言われる話だと思う。そして、ファクトベースというのはものすごく難しい。意識しないとすぐ、自分の解釈が混じってしまう。

なぜ難しいのか?それを考える前に、いつ難しくなるのかについて考えてみたい。それは、自分が当事者になって、定性的な物事に関わっている時だと思う。たとえば、チームの士気が下がっているとあなたにとって思えるような現象があったとする。チームの士気は確かに下がっているのかもしれないが、あなたが下がっていると思っているだけでは、士気が下がっているという「事実」のレベルまでいかない。それはあなたの感覚でしかないからである。だから次にするべきことは、その感覚を「事実」のレベルまで引き上げることである。具体的にはメンバーから事情聴取をすることがあげられる。客観性を保つことができれば感覚は一気に事実のレベルまで引き上げられる。

またウェブの世界では比較的事実認識をしやすい例があるのでそれを紹介しよう。この場合事実とは、アクセス解析に表示されるグラフ群を指す。「直帰率が基準と比べて高くなっている」「平均ページ滞在時間が基準と比べて低くなっている」。これらはある現象を表す「事実」である。もちろん、ウェブは定量的に測定をできる分野であるから、事実認識と感覚認識を混同してしまうことはまずない。

改めてなぜ、事実認識が難しいのだろうか。「日頃身の回りで起こっている出来事」の中から「現象」だけを取り出すことが難しいからである。この点から、事実認識というのはなかなか難しいと言える。

ではどのようにすれば、事実認識だけをできるようになるのだろうか。それは、ひたすら「これは「事実」なのか、それとも「意見」なのか」を考えてヒアリング等を行うことに尽きるだろう。事実=客観、意見=主観と置き換えるとわかりやすいかもしれない。これだけで十分、正しい事実認識を行うことができるようになる。

事実で会話をするようになれば、仕事のスピードは劇的に向上する。これは間違いない。