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気まぐれに書評とか。

やり遂げるまでやる、結果が見えるまでやる

『Think Simple』を1年ぶりに読み返した。昨年の同時期に本書を読み、非常に強い感銘をうけたことを今でもリアルに思い出すことができる。最近少し怠け癖がではじめていたので、気合を入れ直すために読み返してみた。

本書は「(アップルの)シンプルさ」を礼賛する本である。だが、その「シンプルさ」を字面通りに礼賛するだけにとどまっていないこともまた、本書の魅力である。「シンプルさ」は結果もしくは副産物でしかなく、肝心なのは、世に衝撃を与えるようなプロダクトをきちんと作り上げるという目標を達成するプロセスにあると私は考えている。

そのプロセスが、本書に書かれている10個のThink "○○○"である。

シンプルさは、徹底的に物事を突き詰めたその先にある。デザインでもよくいわれることだけれど、シンプルなデザインほどむずかしいものはない。なぜなら、無駄を徹底的にそぎ落としながらも、必要最小限の要素を確実に残さなければならないからだ。

私が本書を読み返して、そしてスティーブ・ジョブズの「シンプルさ」から常に学んでいることはこの「やると決めたら、徹底してやりぬく」という哲学である。ジョブズ本人も、インタビューの中でこう語っていた。

And most of the difference between people that succeed and people that don't is that people that don't give up, they give up sooner than the people succeed. And you have to be passionate about it, because it's so difficult.

成功する人と成功しない人の大きな違いは、成功する人は諦めないことで、成功しない人は成功する人に比べて諦めるのが早いことです。そして、やると決めたことについては情熱を持たなければならないです。(何かをやり遂げるのは)ほんとうに大変だから。

(『Steve Jobs ジョブズと11人の証言』より)

私自身も決して諦めないタイプとは言えない。今まで挫折もした。自分自身、そんなに精神的にタフな人間でもないと思っている。けれど、だからこそ、「諦めずに物事をやりぬこう」という思いを持ち続けることが大切なんじゃないかと。そしてそれが「シンプルさ」を生み出すのではないか。

一度「やる」と決めたら、とにかくやりぬくこと。「やる気がでない」とか「やっている意義がわからない」とか「やらされてる」なんて考えず、とにかく目の前のことを、やると決めたことを、愚直に集中してやりぬくこと。彼のことばを借りれば、とにかく"foolish"に、"hungry"にやる。やりぬくことでしか見えてこない境地は存在する。やりぬくことではじめて見えてくる景色がある。まずはやり始めたことを、それが一定の結果としてあらわれ形になるまでやりぬくこと。これが大切だ。

改めて肝に銘じておきたいと思った。

本書では、シンプルさはこう語られている。

シンプルさは、層のように既存のビジネスの上に載せられるものではないし、あらかじめパッケージに入ったものでもないし、オン・オフのスイッチで動くものでもない。それでも、決意と知識があれば、誰でもそれを利用することができる。 

 そう、誰にでも。Insanely simple, the obsession that drives your own success.