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国連で大使が「Shut up」とか言っちゃった話

国連で大使が「Shut up」とか言っちゃった話。

「英語しょぼい」とか「Shut up」は使わないとか「in the middle ageは”中年”だ」そんな話で盛り上がっていたけれど、論点はそこではない。国連の日本の発言力も、今回は問題ではない。筋違いな批判が多くてそれは違うと思う。ただ、「暴言」がまずかっただけだ。

それにこの話は、「事実(=日本の有罪率というデータ)」と「個人の意見(=世界一の人権国だ)」という線引をできていないがゆえに起きた問題である。これを発言したアフリカの大使はもう少し法律について勉強するべき(日本の法律と英米法は異なる)だし、上田大使は議論をする上で基本的な「事実と意見の線引」を図るべきだった。

事実として、日本の起訴後の有罪率は99%と極めて高い。これについてはいくつが説があり、明らかに無罪のものは検察官がある程度振り落としてしまうからだ…などというものもある。裁判員裁判制度も導入された。自白主義も改善すべきだ。この流れは今後少しずつ改善して行かなければならない。もう少し公正な裁判が必要なことは、私の実感では確かだ。

ただ、注目すべきは、これは起訴後の数字だということである。送検から起訴への流れでは、日本の場合60%程度だったと思う。起訴されて法廷に行ってしまえば確実に有罪となってしまうけれど、それ以前に起訴される確率はそれほど高くはない事実を主張すればよかったのだ。

ここでまずかったのは、この「事実」と「意見」の区別がついていなかったところだ(会場が笑ったのは、「私は中年だ」という、見ればわかる事実を堂々と述べてしまったところなのだろうが)。事実には、事実で応戦する。これは議論の基本中の基本。もう少し頑張って欲しかった。

国連での日本のプレゼンスはよく問題になるけれど、今回の反省をいかして、きちんとエレガンスな議論をできる大使が活躍すれば、今後日本のプレゼンスも上がっていくだろう。