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気まぐれに書評とか。

【書評】『レイヤー化する世界』

新刊は買うもんじゃないなと思った。

前半部分は基本的に世界史の話。対象読者がどこなのかわからなかったが、中高生向けなのかなと思った。高校のとき世界史をとっていた人は、読まずに第三部を読んでしまえばいいと思う。(というか、前半部はいる?)

少し検証が足りていない気がする。超国家企業がたとえ辺境の島に行ったとしても、本質的には「法律」や「国家」というやつに縛られているわけで、前後で何も変わっていないんじゃないか。選択肢がちょっと増えただけで、結局根本にあるのは法律や国家である。

世の中の根底にあるのは、〈場〉ではない。残念ながら、世の中の根底にあるのは、そもそも法律であるし、国家であるし、あるいは八百屋のおっちゃんとお客さんのような原始的な取引である。インターネットは手段を変えただけだ。そしてインターネットも、結局は電力会社や通信インフラ会社のがんばりなくしては成り立たない。〈場〉も、これらのレイヤーの上に乗っているに過ぎないのだ。ちょっと過大評価しすぎなんじゃないかと。

そして残念ながらインターネットだけで崩壊するほど民主主義は軟じゃない。変容はするだろうけれど。民主主義は自己改善のメカニズムをも内包しているからだ。最近の政治(哲)学の研究もきちんと踏まえているのだろうか。これはあまりにも雑だと思った。

ただ、本書のように世の中に対して構えるのは賛成。人類は今後もテクノロジーと上手に付き合っていけばよいと思う。というより、もはや排除できないレベルにまで行き届いてしまっている。

ただ、ノストラダムスの予言の域はでないかな。この本を買うんだったら、『FREE』とか『MAKERS』をしっかり読んだ方がよほどためになると思った。

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