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気まぐれに書評とか。

自分をとりまく世界を考えるために読んでおきたい新書5冊

◆大学生が手元に置いておきたい10冊の新書
http://yuma-z.com/blog/2013/06/shinsho-10/

便乗する。『学問のすすめ』はなかなかよかった。ちくま新書の現代語訳版でどうせあげるなら、『福翁自伝』『論語』もなかなかいいのでどうぞ。あと、『武士道』もすばらしい一冊。

ただ、ひとこと付け加えておくとしたら、「すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる」という、橋本武翁の一言(『〈銀の匙〉の国語授業』、岩波ジュニア新書)である。

また僕は、大学生の時期は自分について知る・考えることも大切だが、自分を取り巻く世界について知ることも重要だと思っている。

自分は探すもんじゃない

いつだったか忘れたけどコメンテーターの勝谷さんが、「若者の間では今、自分を探すのが流行ってるみたいだけど。自分は探すもんじゃない。周囲の環境が、自分を規定するもんなんだ」とおっしゃっていた。僕はこれに深く共感した。というのも、まず、実績もないのに自我を貫き通そうとする人間ほどめんどうくさいものはないからである。

それに加えて、僕のような20代前半の若者は、これから先就職したり、職場で昇進して立場が変わったり、親が亡くなったり、あるいは結婚したりと、間違いなく今まで以上に大きく人生が変わる。今まで経験してきた小学校〜大学までの体験をはるかに超える環境の変化が待っている。そんな中で若い、しかも未熟なうちに見つけた「自分」に固執していたら、環境の変化についていけないことは間違いないだろう。そういうわけで、状況に応じて自分を変えていけばいいと僕は思っている。

さて、話がそれてしまったのだけど、そんなことを念頭に置きながら少し僕なりに選書をしてみた。もっとも、有名な「読書猿」さんが選書をしたら僕以上にすばらしい選書になるだろう。あくまで「僕が自分勝手にいい」と思っている新書なので、読むも読まないも読者のみなさんの自由である。

では、5冊とは具体的に?

では、具体的に5冊とは一体何か。今回選んだ観点としては、「自分をとりまく世界を知るキッカケに」というものである(ただし、僕自身が文系なので文系学生向け)。もっとも、この5冊ですべてカバーできるなどとは思っていない。だが、本当の基本中の基本として、以下の新書をおすすめしたい。

  1. 政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)
  2. 豊かさとは何か (岩波新書)
  3. <中東>の考え方 (講談社現代新書)
  4. ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)
  5. エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)
  6. (番外)はじめての政治哲学――「正しさ」をめぐる23の問い (講談社現代新書)

 1は、若干筆者の主観が入っていて(というのも、筆者は小泉総理が大嫌いだ)読み味が悪いけれど、現状の政治についての説明や政治の問題点などをクリアに示してくれている。政治について、僕たちは深く考えなければならないと思う。なぜなら、右肩上がりでお上からお金が降ってくる時代は終ったからだ。これからは、お上に頼ることなく自分でお金をきちんと稼がなければならない時代がやってくる(やってきてる?)。こういった状況の中では、自分で主体的にはたらきかけていかなければ、僕たちは自分たちの望む社会を実現できないと思う。そのための第一歩として、政治が何をやっているのか、何が今の政治の問題なのかをきちんと整理して把握しておくことは大切だ。

2は、とりあえず「豊かさ」ってなんだろうを考えるのに有用なので読むべし。そして何より、「読んで考える」のが大切だと思う。あなたにとって、「豊かさ」「幸福」とはなんだろうか。

3は、激動の中東を簡単に知る上で非常に有用な一冊だと思うので推薦。中東問題の本質はやはり、パレスチナ-イスラエル問題だと思うが、それらをさらに深く知りたいのであれば、岩波新書で『パレスチナ』などをはじめとする、少し掘り下げた本も出版されているので、そちらもあわせてお読みいただければと思う。イスラムを掘り下げたい方は、岩波文庫の『イスラーム文化 その根底にあるもの』もオススメ。

4については、現代の文化の根底には少なからずキリスト教の影響があり、キリスト教を知らなければ国際情勢や現代文化をきちんと理解できないと思う。それゆえ、キリスト教について知る一冊としておすすめしたい。書かれている内容はおおよそ合っている(しかし、パウロがキリスト教を作った、の下りは少し違うと僕は考えている)。キリスト教について知ることは、最近はやりの「グローバル人材」になるための第一歩であるし、この本をきっかけにすると、他のキリスト教について概説した本も読みやすくなると思う。なにより、インタビュー形式なので読みやすい。

5は、今話題のエネルギー問題について。この先電力をはじめとするエネルギー確保は、僕らの世代にとっては間違いなく大きな問題のひとつである。事故したあとが危ない原発に頼るのか、それとも割高な再生エネルギーに頼るのかを選択するのは、間違いなく僕ら自身である。エネルギーについて考える時、僕らは何を気をつけなければならないのか。これはぜひ知っておきたい。

6は番外。サンデルのおかげで日本でも一気に名が売れた「政治哲学」の入門書。世の中で発生する様々な問題について、自分なりの考えを持つことは、大学生にとって非常に重要である。僕自身が倫理学を勉強していることも関係してくるけれど、僕たちは今、「人工中絶はアリかナシか」「少数意見は配慮すべきか、ある程度排除すべきか」といった、答えを一様に決められない難しい問題に直面している。こういった現実の中で我々ができることのひとつは、お互いによく対話し合い、ひとつ納得できる答えを導き出すことだ。そのための一助として本書を最後の一冊に追加しておきたい。

そして、以上の新書を読んだあとで大切なことは、「自分で文中に取り上げられていた問題について考えて見ること」「感想を書き留めておくこと」である

新書は薄くて安いわりに、内容の濃いものが多く、費用対効果がとても大きい書籍だと思う。今後も新書を読み続けたいし、その中でいい新書があったら逐一紹介していこうと思う。

「大学」という場所に通っているのだから、それ相応の教養をきちんと身につけて卒業したいものだ。

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